このレビューはネタバレを含みます
僕の大好きな曲で、椎名林檎さんの『ありあまる富』というものがあります。その曲がピッタリと合致するような作品でした。
タイトルだけを聞くと『家族全員で万引きしているような貧困層の人達かな〜』とか思ってましたが、赤の他人が全員ひとつの家に集まってる話を見ていて、万引きされた命だったのだと思うと胸が痛くなりました。
売れ残り、若しくは廃棄されたもの、それなら盗んだっていいじゃん。でも、それが命だった、それだけで大罪へと変わってしまう。そんな比喩が面白かったと思います。
自立しようとする祥太、話すようになり自己を表現できるようになっていくリン。実親のように付き添うことは出来なくても、きっと信代と治を「お母さん」「お父さん」と呼べる日はすぐそこにあったような気がします。
少年の成長過程を上手く表現していた二人の子役と、リリーフランキーさん、安藤サクラさん、松岡茉優さん、樹木希林さん、全員の演技があまりに上手で素晴らしかったです。パルム・ドール賞受賞、とだけじゃ留まらないような素晴らしい問題提起作品だったと思います。
