あき

万引き家族のあきのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
5.0
すごく切ない。どう言葉を選んでいいかわからない。
類似作品として”Gone Baby Gone(米,2007)”の設定を思い出したけど、本作の掘り下げ方の深さは圧倒的だ。
この家族が永遠に続くわけがないことは観る者誰しもがその設定がわかってすぐ当たり前のように気づいているはずなのに、壊れないことを心の底で願っているもう一方の自分がいる。
海辺でのおばあちゃんとラストでのバスの中での祥太の、声に出さずに発したそれぞれの言葉が何だったか気付いた者は、苦しいほどに胸に迫るものを感じるに違いない。
それぞれ現実世界で居場所を失った中で疑似家族だろうが自分を肯定してくれる世界を与えてくれてひとりの寂しさを埋め合わせてくれた”他人”。
法治国家のもとでは認められることはない人間関係において、なにが正解なのか深く考えさせられる映画だった。
あき

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