風の旅人

万引き家族の風の旅人のレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.0
『リメンバー・ミー』が血の繋がりを基にした保守的な家族像を提示したとすれば、本作は血の繋がらない疑似家族を通して、「家族とは何か?」という問いを突きつけてくる。
いつ崩れてもおかしくない束の間の関係であることは、構成員の誰もがわかっていただろう。
しかしたとえ短くても、確かにそこには「自分の居場所」があった。
だから彼らは貧しいながらも笑顔が絶えず、その幸福な記憶は一生残りつづける。
すべてを見透かした上で、「妹にはさせるなよ」と言ったやまとやのおやじ(柄本明)の優しさに目頭が熱くなり、ベランダから「ここではないどこか」を見つめるゆり(佐々木みゆ)の視線と、しかし「どこにも行けない現実」の前で引き裂かれる思いだった。
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