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万引き家族のmitzのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.3
都会の真ん中に佇む寂れた民家に暮らす万引きを生業とする5人家族。生活は貧しいながらも、いつもあたたかい空気の流れる家族が出逢った虐待に苦しむ幼い女の子。彼らはその子供を娘として育てることから始まる物語です。
平凡に見える5人家族の歪んだ関係性が後半に掛けて氷解する構成にはなっているものの、是枝監督作品らしい極めて説明の少ない行間のある作品は「きっとそうなんだろう」という各々の解釈の下、正解のない家族の仕組みについて深く想いを巡らせられます。
発露する相手のいない家族愛を他人に注ぐことで成立してしまった絆。複雑なバックグラウンドを持つそれぞれの登場人物を全出演者の演技力で見事に昇華しています。安藤サクラ演じる信代が発する「血のつながりがない方が良いこともあるよね」という台詞が、この作品の全てを物語っています。
手垢のつきまくった「家族愛」というテーマを家族ではない集合体で描く、人と人とのつながりについて反芻することが出来る素晴らしい作品です。
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