遅ればせながら、早稲田にて。
長回しと冗長さが苦手で少し避けていたが、世界で評価される日本映画がどのようなものなのか見ておかなければならぬと思い鑑賞。
はっきりいって
鑑賞していなかった頃の自分を殴りたい。
私的是枝さんベスト作品でした。
過去作品のテーマ性や作品を昇華し、素晴らしい形で映画にしておりました。
「そして父になる」
で示した時間と血縁関係。
「海街ダイアリー」
で示した日常性。
そこに万引きや誘拐、遺棄などの犯罪でつながるつながりを描く。
血縁関係のあるネグレクト
と
誘拐された愛。
孤独老人に転がりこみ、年金をみんなの生活費にしてしまうが、老人自身は幸せそうである。
当然ながら家族像は一つではない。
「おばあちゃんを遺棄したのは私たちじゃない誰かなんじゃないんですか!?」
や
「おれ、おとうちゃんやめるわ、おじちゃんにもどるわ」
など、セリフが心をえぐる。
並みの監督なら最後、二人を再会させただろうし、少年の少し恨みげな眼差しにとんでもないリアルと衝撃を感じた。
核家族でそこそこいい暮らしをしているちびまる子ちゃんのような
あたかも正解だとされがちな作られた近代家族像に強烈なカウンターパンチをかまし、映画の力を感じました。
「シン・ゴジラ」が海外でこけ、
「万引き家族」が当たるのにつけて思う。
カンヌや国際的な賞を取るのは、人間を深い深い深いところまで掘り、それを昇華し、新たな見方や視点を映画として表現するところにあるのかもしれません。
必ずしも賞を取ることが目的じゃありませんが。