【万引き家族】
東京の下町で万引きによって生計を立てる家族を通して貧困と家族のあり方を問う是枝監督の集大成的な作品。
家主の初枝（樹木希林）の年金を目当てに、治（リリーフランキー）と信代（安藤さくら）の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀（松岡茉優）が暮らしていた。彼らは初枝の年金と万引きで生活していた。ある日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに…
是枝作品は一貫して「家族を成り立たせるのは血か？絆か？」「ルールとその埒外に溢れるもの」をテーマにしていると思ってるんだけど、彼の作品の中でもそれを最も煮詰めた作品だと感じたし、是枝監督からの問いに個人的な回答が出来た気がする。
恐らく家族を構成するスタートでは血は強い力を持つのだけど、家族を運営し共同体として強固に意味あるものにするには思いやりと信頼を継続する努力が必要なのかなと思う。
監督過去作の「そして父になる」では家族を意識してリスタートしてたが、「万引き家族」ではこの運用の努力まで突き詰めた気がする。
りんや祥太にとって血縁による家族よりは幸福度が高い治の家族だけど、金銭的な状況だけでなく努力をし続けないと家族ってほころびが出ちゃうんだろうなと。
（本作内のあの事件自体ではなく、そこに行き着く要因が重要なのかと）
血だけであぐらをかけない、不断の努力が必要なくらい脆弱な家族の大切みたいなことをエモくも感じちゃいました。
もう擦られすぎてるでしょうが、子役の天才的演技、作品全体の実在感を担保するロケハン（あの家や商店街、団地）は安定の是枝クオリティー！
それ以外も全演者の演技は素晴らしく、安藤さくらのあの素麺くってからの情事は匂い立つ！！
またこの家族の名前が持つストーリーを立体的にさせる感じとか良かったなぁ
