るるびっち

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋のるるびっちのレビュー・感想・評価

2.0
大嘘なのに仕掛けが浅い。
最高女と最低男の組み合わせ。
または、白馬の王女とシンデレラ・クズ。
現実には、チグハグカップルは大勢いるだろう。
しかし物語として、そのギャップが面白いと思うなら、もっとキチンと大嘘を仕掛けてほしい。
「実は子供の時に知り合いだった」という、言い訳レベルの仕掛け。

昔のハリウッド映画なら、誤解・人違い・策略などの工夫をする。
例えば、一流のスピーチライターを探す大統領候補の女性大臣。
人違いで、エロ記事専門ライターを採用する。
大臣も官僚もエロスラングに無知で、原稿チェック時にナゾの用語を最新の環境用語だと騙される。
大事なスピーチで、エコ発言のつもりでエロ発言。放送禁止用語を連発。お固くて品行方正で清廉潔白の上品な女性大臣が・・・発狂か?

策略で描くなら、女性大臣の失脚を狙ったライバル側の工作員だった。彼女の誠実さに心打たれて裏切るか否か迷う。しかも腐った自分なんかに彼女は恋をして・・・みたいのが王道だろう。
そんな昔のパターンより、今はこれが面白いのか。
作り話が下手なだけじゃないかな??

知人で文才もあるから採用という設定では、アクシデントが起こらない。
間違いや策略なら、この後どうなる? 間違えられた彼はどうする?
真相が解かればどうなる? 彼は裏切るのか止めるのか?
という展開の期待が高まるが、縁故採用でハラハラはない。
そもそも気が合う二人なので、恋に発展しても意外性がない。
クーデターで閉じ込められて盛り上がるが、元々二人きりで映画を観る仲なので、最初から親密だ。

最後に結ばれるなら初めは犬猿の仲とか、温度差がないといけない。
最初から理解し合って温度差も同じなら、恋に発展してもドラマチックではない。
片方が超下品で、片方は超堅物の品行方正でないとギャップがない。
実は二人とも、同じ価値観と感覚だから変化がないのだ。
最後のスピーチで下品発言しても、ギャップがないから驚かない。
全然、ドラマチックにならない。
水と油みたいに相容れない二人が、最後に逆転するからドラマなので、最初からナアナアだとドラマは盛り上がらない。

「子供時代にキスしたことあるんだ」と、思わずついた嘘が原因で女性大臣の仕事をするハメになるなら、嘘から出た実で面白いかも知れない。それならしょぼい設定も意味がある。
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