歩く肉

祈りの歩く肉のレビュー・感想・評価

祈り(1967年製作の映画)
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テンギズ・アブラゼは本作を含めて四作観てきたが、一貫として反体制のテーマを据えているものの、ユーモアや諷刺を交えた作品ばかりだったので、こんなに厳粛でベルイマン然な映画を撮っていたことに驚いた。
本作の冒頭テロップでは、ヴァジャ・プシャヴェラの「人の美しい本性が滅びることはない」を引用していたが、それこそがアブラゼ監督の作品づくりの根底にある核の概念であり、だから、自分はこの監督のつくる映画に惹かれるんだなと思った。
現実の持つ残酷性と理不尽さから目を逸らさず、しっかり見据えた上で、それでも揺るがない人間愛を感じる。
歩く肉

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