シンタロー

黙秘のシンタローのレビュー・感想・評価

黙秘(1995年製作の映画)
3.5
名作「ミザリー」のスティーヴン・キング✕キャシー・ベイツ再タッグによるミステリー。ニューヨークで記者として働くセリーナの元に、母ドロレスがメイドとして仕えていた富豪未亡人ヴェラの殺害容疑で逮捕されたとのFAXが届く。久々に故郷の離島に帰るセリーナは担当警部マッケイと再会…皮肉にも20年前父ジョーの殺害容疑で、ドロレスを取り調べたのもマッケイだった。勾留中のドロレスと再会するが、二人の間にはまるで他人同士のような不穏な空気が流れる…。
過去と現在の事件が、ドロレスの告白とフラッシュバックを交えながら展開。過去は暖色、現在は寒色の映像が基調になって、キャシー・ベイツとクリストファー・プラマーの若返りも見事だったので、全く混乱はしませんでした。とにかくあまりにもジョーがクソ野郎過ぎ!アル中にDV、暴言「あんなブスでも酔えばいい女に見える。デカッ尻で料理下手!口だけは達者!」そら殴られるわ!さらに人間失格な卑劣行為に及ぶので、かなり胸糞でした…デヴィッド・ストラザーンは力演。ヴェラ役の女優さん見たことなかったんですが、こちらもなかなかの怪演。「悲しいけどこの世は男の世界なのよ」「事故は不幸な女のいい友達よ」「生き残るために悪女になることも必要よ」作品の核になる名言残してくれてます。秘密で繋がるドロレスとの関係がおもしろい。
キャシー・ベイツは、スティーヴン・キングが彼女のために描き下ろした作品なだけあって「ミザリー」同様、憑依型の大熱演で期待通り。「悪態つくのが生きるよすがなの」って台詞、言わせたかったんだろうなぁ。作中1番の被害者と言えるセリーナにジェニファー・ジェイソン・リー…幸薄すぎる佇まいが見事で、寒色の映像にピッタリ。彼女の抱えるトラウマを思ったら、不器用な生き方しかできないのも無理ない。なので、ドロレスがこんなに長い間セリーナと距離を置き続けた理由がわからなかった…真実は残酷だけど、それを語らずに娘と向き合ってこなかった結果が今の不幸なセリーナの姿のような気がして…。役者陣の好演もあって見応えはありましたが、これは後味がイマイチでした。
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