CANACO

アガサ・クリスティー ねじれた家のCANACOのレビュー・感想・評価

3.3
原作未読。ミス・マープルもポアロも出てこないアガサ・クリスティ原作作品。

探偵は、元外交官で探偵事務所を開いたチャールズという若い男性が務める。

チャールズのもとに、美女の元カノ・ソフィアが訪れる。ソフィアは、一代で財を築いたレオニデス氏の孫娘で、同氏が他界したと打ち明ける。世間にはまだ知られていないが、家の中にいる一族の誰かが殺したに違いないから、犯人を見つけてほしいとチャールズに依頼する。そこから始まる王道の犯人探しの物語。

ソフィアは怪しい一族のなかでも相続に関わる重要な人物。彼女の“元カレ”が探偵をすることで、探偵も容疑者に含まれる。ソフィアが元カレに依頼した意味を深読みすることもできる。
アガサ・クリスティ作品を知っている人ほど、いろいろな可能性を考えることができるのでおもしろいと思う。

原作が発表されたのが1949年。湯川秀樹がノーベル賞を獲り、『第三の男』が製作された年。最後まで観た感想として、この年にこの作品を創作したクリスティはやはりすごいと感じる。ヒントも伏線もばりばり張り巡らされているのに当てにくい。

映画としては、作中でソフィアの妹・ジョセフィンが言う通り、チャールズはホームズではなくワトソンのため、爽快感は少ない。観客と同じスピードで悩み迷って、最後の最後まで真相に気付かない。

なので、自分で真相を見つけられない限り、抑揚のない調査シーンが続き、ラスト10分まで「どうなるん?」という気持ちで見守ることになる。そしてラストで「ああっ!」と突き飛ばされる。そんな作品。
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