「主役はあなた、私なんて誰も気にしない」
現代文学の巨匠ジョゼフと妻のジョーンのもとに、待ちに待った〈ノーベル文学賞〉受賞の知らせが届く。ふたりは息子を伴い受賞式のためストックホルムを訪れるが…
重大な秘密を抱えてきた夫婦の絆が人生晩年に差し掛かって崩れていく様を描き出す心理サスペンス。
そう!この作品、最初に劇場で見た時は、心理サスペンスとの触れ込みだったので、こちらもそのつもりで鑑賞した。
確かにグレン・クローズとジョナサン・プライス、脇役にクリスチャン・スレーター舞台は格調高いノーベル賞受賞式とくれば、ミステリー・サスペンスの要素満載なのだが、ハッキリ言って展開は誰が見ても明らか。心理サスペンスと呼ぶには…
今回、再視聴してハタと気づいた。
そうか、これは幼稚で無神経なチャッカリ夫を40年間 文字通り陰で支えてきた堅忍持久のシタタカ妻が、晴れの舞台でガツンと食らわす〈ホラー映画〉だったんだ(笑)‼︎
そう思うと主役の〈The Wife〉にあのグレン・クローズを選んだ理由もより明確になる。
サスペンス要素は、最後に妻が秘密を告白するのかどうかの一点のみ。
そこに向かって緊張感を高める装置としてノーベル賞受賞式の舞台を用意した。
内容的には文学版「ビッグ・アイズ」。
ただ、どちらも文学・芸術業界における深刻なガラスの天井問題が描かれており、そこの部分は笑えない。
(果たして現在は、どうなんだろうか?)
サスペンスとして見ると凡庸だが、夫婦間のホラー映画として見れば、それなりに楽しめる。
夫婦やカップルで見るのは要注意‼︎
2019年6月劇場で見た映画を再視聴。