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天才作家の妻 -40年目の真実-のEDDIEのレビュー・感想・評価

3.9
アカデミー賞主演女優賞ノミネートも納得の演技!グレン・クローズを堪能あれ。
40年間の夫婦生活で、天才作家の夫ジョゼフがノーベル文学賞を受賞。
娘は第一子を妊娠し、孫もできる未来もあり、幸せの絶頂にも思えた老夫婦。
グレン・クローズが演じるのが、そんな作家の夫を献身的に支えるジョーン。
授賞式に出るために、夫と駆け出し作家の息子と3人でストックホルムに向かうジョーン。そこから愛し合う2人の間に徐々に違和感と亀裂が生まれ出す。
夫のジョゼフはひと言で言うと完全なる自己中。
映画予告にもあるように、妻ジョーンには作家としての才能があった。果たしてノーベル文学賞は誰の功績か?
おそらく世界中の注目を集めるこの偉大な賞を得るまでは、ジョーンは自分の才能を生かしながら、愛する夫や子供たちと幸せな生活を続けていれば十分だったのだろう。
ただし、世間から注目を浴びるにつれて、元々自己中心的で高慢な夫の悪い面がどんどん露呈していくことに我慢ならない。
極め付けは「妻に小説は書けんよ」のひと言。これが決定打になり、憤慨するジョーン。ここまでの表情の強張りや変化に目が離せない。それほど観るものを引き込む素晴らしい演技だった。
舞台は1992年。つまりは夫婦生活のスタートの頃は1950年代と男尊女卑の女性は躍進できない、そんな世の中だったわけだ。
そんな過去と現在を映しながら、ジョーンの感情を想像させ、感情移入させる見事な演出。
結末には驚いたが、当時の女は出世できないという社会的側面を知りつつ、夫婦のあり方、家族のあり方を考えさせられる良作だと思う。
ちょっと夫婦で観に行くのはオススメしにくいが、人生で一度は観ておいても損はない映画だ。
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