Kellie

ゲッベルスと私のKellieのネタバレレビュー・内容・結末

ゲッベルスと私(2016年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ブルンヒルデ・ポムゼル。1942年から終戦まで3年間、ナチスの宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書だった彼女。終戦から69年後に受けた30時間のインタビューを編集したドキュメント映画。「ホロコーストについてはなにも知らなかった」と語る彼女の姿と、終戦直後の強制収容所の記録映像などを含むかなり生々しい貴重映像も見ることができる。

「大きなガラスドームの中にいた」という言葉が印象に残った。私達も大きな収容所にいたのだと言った。起きている惨劇を知ろうとしなければ、見ようとしなければ、嘘みたいだけどこの世で最も恐ろしいことにも気付かず過ごすことができる。政治に無関心でいること、深く考えないで大きな流れに従うことってこんなに犯罪に加担したようなことを起こすのか。自分は加害者にならない、なんて言い切れない。収容所にいたと例えでも言える神経が、子供の時に染み付いた上の人に従う性質が、103歳でも抜けないんだなと感じられた。

戦中の数年間に支配された彼女の長い人生って幸せだったろうか。幸運な生だったかもしれないけど、心から笑えるほど強い人にはならないでいてほしいと、勝手な願望を抱いてしまう。

重いけど、現実に起きたことを知りたい好奇心を抑えなくてよかった。綺麗なものしか見れない人間になれない。
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