emily

ヴィクトリアのemilyのレビュー・感想・評価

ヴィクトリア(2016年製作の映画)
3.5
 刑事事件専門の弁護士ヴィクトリアは、結婚式で友人のヴァンサンと以前麻薬事件の依頼人だったサムと再会。ヴァンサンは翌日、恋人の殺害未遂で逮捕。その弁護を引き受ける事になるが、証人は犬だけ・・サムは仕事を探してるとかでヴィクトリアに子守として雇われることに・・

 ヴィクトリアのめまくるしい日常にどうしようもない男達が絡まり合い、どんどん追い込まれていく様を、巧みに切り替えて見せていく。弁護する側が、弁護される側に回り、その境界線がごっちゃになっていき、心はどんどん引き裂かれていく。常にタバコを吸い、薬に頼り、それでも強い自分を演じないといけない。目間苦しいスピードで画面は切り替えられ、確信犯的なコミカル要素で物語は構成されていく。しかし彼女は必死に生きてる。彼女が頑張れば頑張るほど、観客にはコミカルに映ってしまう皮肉・・

 いろんなものが覆いかぶさる中で、断固として彼女に寄り添い味方し、汚い部分も全部見せれたのがサムだった。元夫のブログ事件から自分の事を客観的に見直す機会へ繋がり、目間苦しく回転する日々の中大事だと思っていた、勝訴すること、仕事で成功することがひっくり返る。

 大切な物は大事な物はいつだって失って気が付くもの。近くにいつもあるとそのありがたさに、その存在の大きさに気が付かない物だ。幸せは結局探すものではなく、そこにあるものだ。
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