このレビューはネタバレを含みます
頑固過ぎる性格が災いして普通の生活がスムーズに行えないアグラエは、どんな仕事も上手くいかない。けれど、自動車の耐久性実験工場だけは天職と思えた。そんな職場がインドへ移転することになり。。。
転職を拒み、同僚2人と車を走らせフランスからインドへ行こうとするロードムービーは、予測不能な出来事の連続である。「予期せぬ事が大嫌い」と語るアグラエが体験する初めて尽くしの旅は、彼女を別の自分へと変えていく。
よくある自分探しの物語ではあるけれど、その語り口は恐ろしく斬新で寓意性に満ちている。
まるで歩き慣れた道を免許取りたての新人ドライバーがおっかなびっくり進むように、それでいて目に写るものは今までと違うように。
インドとは別の場所にある自身の幸せの為に車を降りる同僚を尻目に、手段を選ばず突き進むアグラエのバイタリティに感服しつつ、彼女は人生で初めての、ある種の衝撃耐久テスト中なのかもしれないなと思えてきた。
より良い自分になる為にあちこちへこませながら全力でぶつかっていく彼女の、その旅路の果ての清々しい表情が胸を打つ。