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シューマンズ バー ブックの継のレビュー・感想・評価

シューマンズ バー ブック(2017年製作の映画)
3.5
昨年、「Pen」という雑誌で東京のバーを紹介するこの人の記事を読んだ。
欧米の関係者がバイブルと呼ぶカクテル・レシピ本の著者で現役のバーテンダーでもあるレジェンド、チャー ルズ・シューマン。
本作は、世界の選りすぐりのバーを巡る彼を撮らえたドキュメンタリーです。

ミュンヘン、NY、パリ、ハバナ、東京...
気の利いた食事が楽しめるカジュアルなバーから、格式あるフォーマルなバーまで。
映画関連を挙げると、“皆殺しの天使” を意味する名の退廃的なベルリンのバー(ほんの一瞬です)、
NYのバーではブニュエルがドライマティーニを作る記録映像を紹介(元バルセロナ⚽グアルディオラが登場)し、
ヴェンダース『ブエナビスタ~』でお馴染みのパステルカラーのハバナ旧市街では、ヘミングウェイが足繁く通い愛飲した砂糖抜きのダイキリを。『誰がために鐘は鳴る』は、この地で書かれたものなんですね。

シューマンが自身の理想として作ったバー が、紹介されるような日本的なものだったのは意外でもあり、何か誇らしくもあり。
ただ、カウンターを挟んでバーテンダーと1対1で対峙するバーは自分には敷居が高くてf(^ー^;、
いつかは... とは思うけど、今は軽食も取れそうなエドワードホッパーが描いた「ナイトホークス」みたいなダイナーや、ワイワイガヤガヤ喋れる店(^_^)/□☆□\(^_^)へ足を運ぶのがほとんどで。

とはいえ、店の内装や照明、バーテンダーの身のこなしや、客との距離の置き方、さりげない気配り... そんなこだわりと大人のマナーが醸し出すバー独特の洒落た「空間」は、わざわざ足を運ぶ理由に足るものです。詰まる所は、その空間にどういった価値を見出だすか?ということでしょうか。

表参道にある美味いコーヒーを出す店の、縁側のような庭先で静かにマキアートをすするシューマンが印象的で、その日の気分や連れ添う相手によって選択肢が多い東京の魅力を改めて感じさせてもらいました。

照明を落としたバーの暗がりを縫うように響くジャズ、アフロキューバン。
エンドロールで流れるのはイヴ・モンタン “詩人の魂”。スッキリと喉を伝う、チェイサーのようでした(o^-')b !
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