フォンザヲ

復讐の十字架のフォンザヲのレビュー・感想・評価

復讐の十字架(2017年製作の映画)
3.5
復讐するは我にあり

と、神は仰られた。この言葉の真意はあなたの敵を「許せ」という意味である。

ある事件を機にトラウマを抱え、それが原因で成人した今も対人関係で度々問題を起こす主人公マルキー。彼の抱えるストレスから爆発する怒りは、理由を明かされないまま彼と過ごす恋人を悩ます。
マルキーは二つの問題に悩まされている。「憎しみ」と「信頼」である。憎しみは破滅的衝動や自己虐待によって自分自身をも滅ぼしていく。信頼することは想像するよりもとても難しい。マルキーは誰も「信頼できない」ことに悩んでいる。彼はこの信頼できる対象を求めていた。それこそが唯一の救いであると、その希望だけを信じて。だが、その希望が崩れた時、悪魔の悪戯のような運命の巡り合わせが重なった時、彼の唯一信じるのものは「復讐」へとすり替わったのだ。復讐によってのみ救われるのだと。そして神の赦しを求めるように肉体的、精神的両面で痛々しい行動を重ねていく。
彼のストレスは統合失調症の症状のように現実を破壊し、破滅的な階段を登っていく(この場合降りていく)。親友や恋人、そして肉親の母親、全ての愛する人を断ち切り、彼が最後に出した答えが本作の見せ場である。
少し悠長な展開に飽きるかもしれないが、最後まで見なければその真意は汲めない。
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