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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのhoshのレビュー・感想・評価

4.8
これぞ映画!
ストーリーはほとんどないような物だが、
ゆったりとした時間の流れと60年代ハリウッド黄金期をじっくり堪能する至福の1本。

とにかく全編通じて風格が凄い。カメラワーク含めてゆっくりゆっくり箱庭的な映画業界と、日常を魅せてくれる。車が本当に魅力的に映った。ブラピのドライブシーンがとにかく最高。ゆーったりとしたカメラから背中を捉え引き込むように始まるOPも絶品。

中盤のマーゴット・ロビーが自身の映画を
見るシーンなんか多幸感で泣けてくる。映画の、映画館の魅力を心から知っていて信じ抜いている人が作った場面だと思う。

ブラピはファイトクラブばりに色気とかっこよさ全開で最高なんだけど、個人的に印象深いのはディカプリオ。ヘタレな役者ながら、それでも力を振り絞って魅せた最高の名演。俺様はリックダルトンだ!に落涙。

基本的に日常モノで、多幸感溢れながらも
牧場の長回しや、後の事件の顛末を観客が
知っているからこその緊張感、不穏な空気の醸し方はさすが。どれだけいいシーンでも終わりゆくことを知っているので切なくなる。

しかし、だからこその終盤30分のタランティーノ節の炸裂がたまらない。冒頭で示した小道具で決着がつくのなんか拍手喝采したくなった。
これぞ映画!

この映画の中にしかない人物の人生がある。でもこうして作品になったことで永遠に生きながらえ、悲劇のヒロインではなく1人の可愛らしい女性として胸に残る。映画の力と魔法を信じた最高のおとぎ話。

映画館で見たというのもあるけれど、今作より好きなタランティーノ作品は今後出てくるのだろうか。未見の過去作品を鑑賞するのが楽しみだ。
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