はらだしんじ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのはらだしんじのレビュー・感想・評価

4.0
一言でいればタランティーノ版グラセフなのではないか?と思った。

同じ時間軸で個性あるキャラクターが好き好きに目的など特に無く生きている。
それが雪だるま式に終盤に差し掛かるにつれ盛り上がっていく。
ストーリーを作る時、その主人公が何を目指すかからプロットを作るのが定石だろう。
海賊王になるだとか、14歳の少年が地球に迫る危機が救うために戦うだとか、街のチンピラが人生をやり直すためにボクシング世界王者に挑むとか。
タランティーノ監督作にはそれがない。
それは、世間一般に生活をしている人間のごく当たり前のような日常であり、起承転結を理解してストーリーのためにレールを進んでくれるお行儀の良い脚本ではない。
ただラジオをかけて、仕事の悩みを話しながら車を走らせる。何でも良いような日々の出来事の重なりがその人を作っている。
観た後に最高のエンタメだったという幸福感が残る。それこそが俺が観てきた映画なんだとタランティーノの声が聞こえる。