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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

昔々、ハリウッドで…。
恥ずかしながらテート・ラ・ビアンカ事件についてまったく無知だったので、肩透かしというか率直に言うと期待外れだったかなーというのが正直なところです。というのもオマージュ元の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』を観てしまったが故に、あちらのような人生を描く大河モノを期待して観ちゃったからなんですよねー。いやはや全くのミスリードでした笑

テート事件、ラビアンカ事件どちらも当時のアメリカの歪が産み出した凄惨な事件。そういった光と影の上にハリウッドがある。いや、どちらかと言うと、煌々と輝くが故に影から視認でき、負の感情の対象となる場所にハリウッドが置かれている、が正しいのかもしれません。これをタランティーノ節で切り取って昇華したわけですか。勿論事件然り、事件として発露するまでのベトナム戦争やヒッピーといったアメリカ社会の揺らぎに立脚しているという意味で、本作はつくづく"アメリカ人のための映画"だと思います。日本で言う安田講堂事件みたいなね。当時の、その国の人々じゃないと芯で分かり切れない感情がありますよねー。

個人的には見やすい作品かと言うと決してそんなことはないんじゃないかと思うのですが、意外とRotten Tomatosのオーディエンススコアも低くなく[1](というかむしろ高い)驚いてます。冒頭書いた通り僕はあまり刺さらなかったので…笑
このレビュー[2]にある通り、タランティーノの十八番たる「復讐なくして西部劇あらず」をこの形で昇華したのは確かに凄いなと納得させられました。
また、こちらのレビュー[3]で示唆されている「幸福な人生の下り方」も視座に富んでいて感服しました。自分自身が向上心に囚われたミドルであるからこそ、本作が刺さらなかったんだな~と反省しつつ…笑

そして、やっぱりタランティーノは楽曲センスが抜群ですね!
このハイレベルな映像と音楽の親和性は彼の圧倒的な音楽知識と愛によって成し遂げられてますよね~。本当に素晴らしい。

そういえば途中に出てきた"actor"の子すごくよかったな~。ジュリア・バスターズというらしい。彼女は将来監督を志望しているようですが、これからどんな役者になっていくのか楽しみです。



参照
[1] Rotten Tomatoes, "Once Upon a Time... In Hollywood", https://www.rottentomatoes.com/m/once_upon_a_time_in_hollywood, 2024/05/19時のスコア「Tomatometer: 86%, Audience Score: 70%」
[2] Teressa Gatto, "Érase una vez en Hollywood", Aug 27, 2019, https://cine-puestaenescena.blogspot.com/2019/08/erase-una-vez-en-hollywood.html
[3] 伊藤敬太郎, "『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に学ぶ 幸福な下り坂のキャリア", Apr 10, 2020, Recruit Works Institute, https://www.works-i.com/works/series/eiga/detail016.html
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