EDDIE

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのEDDIEのレビュー・感想・評価

4.8
タランティーノマジック健在!これまでのタランティーノ作品のいいとこ詰め込んだような素晴らしい作品でした。大満足。

公開されるまでかなり楽しみにしていた本作。10本撮ったら引退すると前々から宣言しているタランティーノ監督ですが、これが9本目。ただこれを観たことにより、10本とは言わずもっと撮ってくれ!というのはファンのわがままでしょうか?それぐらい満足度の高い作品でした。
他の方のレビューでもある通りですが、本作を観るにあたり必ずシャロンテート事件については概要だけでも調べて把握しておくことです。それだけでラストの感動の味わい方がまったく変わるはずです。

本作は1969年のハリウッドを舞台に、テレビドラマで脚光を浴びていたスター俳優が落ち目にあい、苦しみもがきながら這い上がっていくサクセスストーリーの面を持ちつつ、実在したロマン・ポランスキー監督夫人の美人女優シャロン・テートの日常を映し出し、前述したシャロンテート事件(あるいはチャールズマンソン事件)へと繋がっていく作品。
つまりはフィクションとノンフィクションを掛け合わせ、タランティーノ流の妄想と解釈でどんな結末を迎えるかって話ですね!予告等々でも謳われている通り、ラスト13分に驚きと衝撃の展開が待っています。私はもうここの流れがお見事すぎて笑みが止まりませんでした。大事な部分なので言いませんが、気になる方は是非とも劇場にて。

で、このラストの感動を味わうにあたって、落ち目の俳優リック・ダルトンの物語を追いかけることになります。彼は若手の台頭などもあり、出演作も主演ではなく悪役やちょい役ばかりなんですね。
アカデミー賞俳優レオナルド・ディカプリオが落ち目の俳優を演じる。なかなか味がありますが、このリックの悩みと葛藤、苦しみを我々の胸に響くぐらい熱く演じます。レオだからこその素晴らしい演技に目が離せません。
そんなリックの相棒でスタントマンのクリフ・ブースをブラッド・ピットが演じます。このクリフがめちゃくちゃかっこいい!彼もとある出来事をきっかけに仕事を干されるようになり、スタントマンの仕事がなかなかもらえないという苦しい状況なわけですが、常に達観しながら、時にはリックのメンター的な役割も担い、だけども雇い主であるリックには敬意を表し、そして友人としても支えるという役柄を演じ切ります。ずっとミステリアスな雰囲気漂うクリフですが、彼のアクションシーンの見どころがいくつもあり、もう「かっこいい!」という感想しか出てきません。
また、彼の愛犬ブランディのよく訓練されたしつけ具合にも唸らされますが、このブランディの動きの一つ一つに癒されつつ、番犬としての役割もしっかり果たすところにニヤニヤ。ブランディからも目が離せません。

さて、長々と書き連ねましたが、個人的に特に好きな場面は予告でも流れた少女トルーディがリックに「あなたはこれまで見てきた中で最高の役者よ」と耳打ちする場面。もちろん予告の場面ではなぜリックがあそこまで涙ぐむのか完全にはわからないわけですが、それまでの彼の苦難を追いかけることでこちらまで涙腺が緩むという仕掛けになってるわけですな。いやぁあのトルーディ役の子も凄く良かった!

あとは、シャロンが自分の出演作を劇場で観る場面。微笑ましい!彼女の出演シーンで観客が爆笑したり拍手したりとアクションするたびに、嬉しそうにご満悦な表情を浮かべるシャロン役のマーゴット・ロビー。彼女は全体的にセリフ少なめではありましたが、こういう一つ一つの仕草や表情に魅せられてしまいました。可愛い!

161分という長尺。なかなか尻込みする時間ですが、私は全く長く感じず、しかもまた観たいと思わせられるぐらい一つ一つの演出や役者の演技に夢中になりました。
正直レオ&ブラピの初めての共演にはじまり、マーゴット・ロビーやアル・パチーノ、故ルーク・ペリー、ダコタ・ファニング、ジェームズ・マースデン、カート・ラッセルらの豪華俳優陣、キュートで可愛い若手女優マーガレット・クアリーやブルース・リー役のマイク・モーなど出演している役者を観るだけでも十分堪能できお釣りがくるレベルだと思います。
語りたい話の10分の1も語れてないですが、もうねとにかく観て!としか言えません!笑

そして、タランティーノ監督もっと映画撮り続けて!
EDDIE

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