このレビューはネタバレを含みます
この映画でサンドラは何度も走る。
ダンスのステージに間に合うため。
マイクの舟に乗るため。
何歳であっても、何かを掴もうとして必死に走る姿は見ていて本当に気持ちがいい。
実際問題、老いてからの離婚はしんどいことの方が多いだろう。
友人に会うのはせいぜい週1-2度で、ほとんどの人は趣味であんな大舞台には立てない。
画面に映っていない時間、1人でこれまでの人生やこれから起こる死について考える孤独の方がずっと長く、スポットライトも浴びないままだ。
それでも私たちは、サンドラに自分の道を選んでほしいと願う。
老いてから、新しく出会った恋人と世界を旅する。
なんて素敵だろう。
私の好きな写真家の言葉に、「写真とは世界がこうあってほしいという祈り」といのがある。
この映画はそれだ。
自分が老いてもこんなことがあってほしいという希望を見せてくれる。