るるびっち

魔法にかけられて2のるるびっちのレビュー・感想・評価

魔法にかけられて2(2022年製作の映画)
3.8
過去の呪いを解く映画。
ディズニーの罪深さは、沢山の呪いを女子に掛けたことであろう。
『白雪姫』『シンデレラ』『眠れる森の美女』等で、いつか王子様が現れると、ありもしない呪いをかけた。
夢は叶わないと呪いになる。こじらせ女子増産の元凶。
そして物語の犠牲となったのが、悪役や継母たちだ。
おとぎ話の中では、継母は常にヒロインをイジメる役割だ。

『アナ雪』で、王子を否定して姉妹愛を見せた。
『クルエラ』では、悪役に名誉挽回させた。
本作では、継母に汚名返上させている。
ここ数年のディズニーの、クラシック破壊は目を見張る。
時代に合わなくなった、おとぎ話の瑕疵を埋めていく。
丸で欠陥商品をリコールするようだ。

「良妻賢母」というように、一人の人間としてよりも、良き妻・賢い母という役割を押し付けられる事も多い。
ディズニー作品やおとぎ話では、話を単純化するために、判り易いステレオタイプを押し付けてきた。
悪役も継母もそれらの犠牲である。

「お約束破り」という自己改革は暫く続くようで、『リトルマーメイド』実写版では黒人の人魚姫を出すらしい。
短編作品でぽっちゃりヒロインを出したり、『私ときどきレッサーパンダ』でもメガネ女子を主役にしている。
この流れが続けば主役は美男美女ではなく、ブス・ブ男に取って代わられるだろう。
いずれはスターになるため、ブサイクになる逆整形が主流になるかも知れない。
日本は何でも遅れてるので、当分は美男美女が活躍する。
ハリウッドスターを目指す海外移住派は、皆ブサイク整形するだろう。
ピース綾部より、アインシュタイン稲田の方が成功する。

本作は「役割の解放」と「血の絆より家族の絆」をテーマにしているが、ゴチャゴチャして分かり辛い。
おとぎ話の継母役を押し付けられ、悪役化していくエイミー・アダムスは面白い。
しかし同じ理由で、「良い子のヒロイン」役を押し付けられた娘の変貌ぶりは分かり辛い。元々反抗期というだけで、そんなに悪い娘ではない印象なので、不良娘が良い子ぶらなきゃいけない可笑しさが出ていないのだ。

YouTuberが『リトルマーメイド』のPVを勝手に黒人から白人に書き換えて、物議をかもしている。
単なるイタズラか、ポリコレ批判か。

老舗の和菓子店が急に「マカロン最中」「マリトッツォどら焼き」を出したら邪道だと客が騒ぐだろう。(コンビニなら揉めない)
今、一番攻めているのは老舗ディズニーなのだ。
そのため、客の舌に『黒人の人魚姫』は馴染んでいない。
和菓子はアンコ、生クリームは邪道。
人魚姫は白人、黒人は行き過ぎたポリコレ。
実は古臭いのは老舗ではなく、いつだって客の方なのだ。
ワンパターンだって言う癖に、お馴染みの味を求める。
食べてみたら、マカロン最中も美味しいだろう。
客の舌の呪いが解けるには、まだ時間が掛かるのかも知れない。
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