悪魔の毒々クチビル

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

5.0
We are Groot.

ガーディアンズ最後の闘いを描くお話。


遂にGotGシリーズ完結へ。
個人的なこのシリーズの印象としては1をレンタルで初めて観た時は「まぁ中々面白かったな」くらいでして、2も興味そこそこで公開最後の週に観に行ったらば「うわめっちゃ面白いやんけ…!」と激ハマりした思い出がございます。
だからなのか最近はアメコミ映画観に行く際は出来とか関係なく「さて行くか」程度のモチベーションだったんだけど、今作は久々に「新作楽しみだなぁ」とワクワクしながら劇場に向かっていました。

っていう私事も程々にしておくとして、元々期待値高めだった作品ですがね、これがまた大変素晴らしい内容でした。
やはり流石はジェームズ・ガンと言うべきか、自らが作り上げた世界観の掘り下げや畳み方が非常に巧み。
思えば「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」でもガーディアンズのシーンだけはジェームズ・ガンが一部監修するくらい徹底していましたね。

基本的にはシリーズ通して魅力だった他作品では拝めないちょいブラックな要素も入り交じったジェームズ・ガン節とも言える小ボケの応酬や、物語を補完するような形で流れる音楽、はたまた容赦の無い極悪展開からエモーショナルに描かれるキャラクター同士のやり取りetc.と良かった所がこれまで通りと言えばそうなんだけど、今作ではそれらの要素がファンにとって馴染みのあるものと化したのかフィナーレに向かっているのもあってか一層刺さる部分が多かった気がしました。
あと劇中のセットや宇宙人の造詣、不意に来るエグい描写なんかに結構ジェームズ・ガンならではというか「やっぱトロマ出身なだけあるよなぁ」と頷かざるを得ない瞬間が頻繁にあってそこも良かったです。

今回はロケットの過去に焦点を当てた内容で、ここは特に感動的でした。
同じように実験台となった動物達とのやり取りがね。
当然初登場ですし言い方を選ばなければフルCGのキャラ同士なのに、びっくりするくらい違和感無くフィットしていたどころか一番泣けたのが彼らの再会シーンでしたね。
あそこはロケットっていうキャラが独りで抱え続けていた悲しみが自然と涙と共に溢れかえる劇中トップクラスのエモい場面だったので、そりゃ泣くよね。

勿論全キャラ最高な見せ場はあるんだけど、ネビュラは元が元だっただけに今回の人間味が増し増しになった姿を観ると感慨深いですね。
「アベンジャーズ エンドゲーム」以降の過去から来たガモーラとピーターの関係性も、ほろ苦いながら互いが互いを認める距離に縮まって行くのも良かった。
ガーディアンズのバトルシーンも今回が一番印象的だったかも。ドラックスって「アベンジャーズ」シリーズではあんま活躍してなかったけど、やっぱ強いよね。マンティスもめっちゃ身軽だし。
終盤の全員で戦う所も最高だったんだけど、ピーターとグルートが二人で撃ちまくるシーンが一番好きでした。

個人的には気にならなかったんだけど、新キャラのアダム・ウォーロックはGotGの世界観に合わせたキャラ設定になっている感じがするから、もしかしたら昔からの原作ファンの中にはあんま好みじゃないって人もいるかも。
俺も一応アダムが出ていた「インフィニティ・ガントレット」は翻訳版を持っているので、「大分キャラ変わったな」とは思いましたがこれはこれで面白味があって良かったですし、まだ若いっていう設定もあってか全然マイナスにはなりませんでした。
配役がウィル・ポールターなのも最初は意外でしたが、上手くハマっていたなと。

今作のヴィランはロケットの生みの親でもあるハイ・エボリューショナリー。
冷徹かつ癇癪持ちかってくらいぶちギレる見た目ロボコップなクソ野郎を演じているのは、同じくジェームズ・ガンによるドラマ「ピースメーカー」にもレギュラー出演していたチャック・イウジ。
そしてロケットが生まれた遺伝子技術会社のある衛星オルゴスコープの警備員役に「スリザー」「ザ・スーサイドスクワッド」のネイサン・フィリオン。
オルゴスコープでピーター達が人質にした女性エイリアンに「ザ・スーサイドスクワッド」のダニエラ・メルシオールと、ガン作品お馴染みのキャストがカメオ出演していてそこも細かい見所の一つでした。あの人が一瞬出てきた時はグッと来ましたねぇ。
カメオに関しては他にも声のみの出演で、ホークアイの奥さん役でお馴染みのリンダ・カーデリーニやジュディ・グリア等かなり多いので探してみるのも面白いでしょう。

あとは過去2作ともに、終盤のとある展開が同じと言うかある種の様式美となっている節があって、今作もそれに沿った流れなんだろうなとか勝手に思っていたら最後だけそこに逆らう展開にしていたのが非常にアツくて最高でした。

今作を通してガーディアンズの面々が導きだした道が、これで完結しても観ているこちらも納得出来るものになっていたし、本当に良い締めくくり方だと思いました。
アダムを始め一部のキャラは恐らく今後他の作品に出てくるとは思いますが、今までのガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとしての物語はこれでおしまい。
寂しくなりますが、綺麗に終わらせてくれた事に感謝です。