YohKitajima

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のYohKitajimaのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

『GotG vol.2』あたりから「触手」、「串刺し」を毎回見せてくれたジェームズガンだが、今回はついに「手術台」も出してくれた。有機生命体で出来た星の外観も、肉体の内部へのこだわりが感じられて見事。眼球と脳の内部へのこだわりもあるのか。

実験生活中に空のロケットを見上げて、「いつか自分も空を飛びたい」と願って「ロケット」と名乗るアライグマに、奴隷生活中に空を見上げて「スカイウォーカー」と名乗るアナキンを感じ、感涙。ロケットの過去話はとても辛かった、アイツらとの再会はマジ泣きしちゃったよ。

ハイ・エヴォリューショナリーがめちゃくちゃ良かったな、本当に悪い奴だった。あいつの目指すところの「完璧」は自分の完全な支配下で自分を超えた存在を作り出すことだが、「作家は自分の知能を超えたキャラを生み出せない」みたいなのと同じように、ロケットが賢い存在だったのは89P13という個体の持つ特異性によるものなので、そういう偶然性が入り込むことの許せないコントロールフリークの彼が実際ロケットの脳を手に入れたところで「完璧」に到達することはないのだろう、と思った。あいつの作った生物による星でボカロが流れてるのも、コントロールフリークとしての態度が感じられた。ボカロは全く馴染みがないが、あれの曲の作り方的に可能な限り偶然性を排除できるような作りなのだろうし。イギリス英語に拘るのもキモくて良い。あいつはなんとなく、ジェームズガンの作家としての姿勢の対局みたいな存在でもあるんだろうな。ガンは偶然性を取り込んでくのが上手いタイプの人だと思う。

ガーディアンズ三部作、どれもなんらかの形でセレスティアルズが関わってるな。1作目は回想で出てきたりとか、セレスティアルズの死骸の頭部で出来た街があったり。2作目はカートラッセルがセレスティアルズだし。で、今回出てくる要素は何かというと、明言はされてないけど恐らくハイ・エヴォリューショナリーのやろうとしてることはセレスティアルズの真似事だし、そんなセレスティアルズになりたいボーイをセレスティアルズの頭部に乗った、セレスティアルズの能力を持ってたけど捨てて人間になった奴がぶちのめしにやってくる、ってのは熱いね。セレスティアルズ三部作の締めとしても綺麗。

一つ不満があるとすれば、スタローンはもっと出してほしかった。スターホークとしての活躍が観たい。
YohKitajima

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