シシオリシンシ

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のシシオリシンシのレビュー・感想・評価

4.3
気持ち良くて後腐れのない、心スッキリな完結編。
三部作の完結編としても娯楽作としても高水準にまとめ上げた秀作。

GotGシリーズはMCUという大きな流れにありながら、その流れに呑まれることなく娯楽作としての役割を見失わずに全う出来たのは非常に素晴らしい美点である。

ひとえにジェームス・ガンの持つ作家性がGotGにおいてブレることがなかったのは大きいだろう。トロマ映画という悪趣味畑の出身でありながら、MCUにおいては万人向けにチューニングされた作風を確立している。コンプライアンスに則りつつも、キャラの掛け合いの妙やギリギリアウト気味なブラックセンスを絶妙に織り混ぜ、それらを様々な名曲たちに乗せて作品全体の面白さに昇華する。まさに名匠のなせる技である。
GotGがシリーズを重ねてなおここまでの好評を続けてきたのは、紛れもなくジェームス・ガンのセンスがあればこそだろう。

本作Vol.3においては、ロケットの凄惨な過去と因縁がドラマの軸となるが、シリアスでウェットなだけのドラマに陥らないように、いつもの掛け合いや痛快な笑いが絶妙に配されており「適切な重さ」のドラマになっていた。
ガーディアンズ各々の成長と自立と旅立ちが過不足なく描かれており、収まるべき帰結点に綺麗に着地し、彼らと爽やかなお別れをすることができた。

ネビュラが泣いて、ドラックスが踊る。
最後にこういう変化を見られたことが、GotGシリーズを追ってきて本当に良かったなと思えるのだ。

今作がジェームス・ガンのMCUでの最後の仕事になったが、期待を裏切ることなく有終の美を飾れたのは映画人として一つの誉れだろう。(逆にガンの抜けたMCUがどうなるかが不安ではあるが…)

今後のジェームス・ガンの活躍はDCユニバースの建て直しが主戦場となる。
MCUでは万人向けにリミッターのかかったガンの才能だったが、DCでは是非とも枷を解放してスースクで見せたようなコンプライアンスに喧嘩を売るような好き勝手や悪趣味を遺憾なく発揮してくれることを期待したい。
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