ゆきゆき

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のゆきゆきのネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

シリーズ3作目、「ロケット」が「ロケット・ラクーン」になる物語。

まず序盤から前2作とは違う雰囲気に驚く。これまでは軽いノリで暴れていたらいつの間にか宇宙の危機に直面・・・という感じだったのが、今作では物語開始早々にロケットが瀕死の重傷を負い、彼の命を救うためにガーディアンズの面々が敵の本拠地に乗り込む流れがいつになくシリアス。もちろんギャグを交えたくだらない会話の応酬はあるのだけど、状況が状況なだけに、強がりや不安の裏返しであることがこれまで以上に痛々しさを持って聞こえる。

明かされるロケットの過去はあまりにも悲しい。彼にとって仲間とは始めから失うことが分かっている存在だったのだな。誰よりも仲間思いなのに、自分から周囲の人間を遠ざけるような行動をとるこれまでの行動原理が分かる。2回目に見た時は、ライラたちと自らの名前を名乗り合うシーンですでに涙腺が緩んでしまった。そして別れの時は本当にツラい・・・。

監督が一貫して描いてきたアウトサイダーたちへの優しい眼差しは今作でも健在。ありのままに生きるというのは聞こえはいいが、実際は周囲と衝突し軋轢を生むということもしっかりと描写されている。しかし、だからこそ対話と相互理解が重要なのであり、自分が自分らしくいられる場所はきっとどこかにある。理想論なのかもしれないが、これが監督が示す希望なんだと思う。

ガーディアンズ名物の劇中音楽。これまでは70年代の曲が中心だったのが、90年代以降のオルタナティブ・ロックを多く含んだ今回の選曲は意外。パンフレットで監督が「音楽プレーヤーが新しくなったのだから音楽も新しくなるはず」「これはヨンドゥの選んだプレイリスト」と語っていて腑に落ちました。でもボカロ曲までカバーしてるのはさすがとしか言えませんね。そして最後に流れる『Come and Get Your Love』。完璧です。

シリーズのみならずジェームズ・ガン監督のキャリアの集大成とも言える作品でした。DCコミックスでの活躍も大いに期待です。
ゆきゆき

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