グラビティボルト

ファイナル・スコアのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

ファイナル・スコア(2018年製作の映画)
4.0
これは良い活劇!
高層ビルをサッカースタジアムに変更したダイ・ハードのエピゴーネン活劇だが、ちゃんと面白い。
厨房での絶対絶命で、フライヤーの中に落ちたナイフを掌が焼かれる痛みに耐えながら握る事で危機を脱するとか、ちゃんと意外性がある。

主人公を格闘家出身のデイヴ・バグディスタにキャスティングしながら、格闘技や体力任せの作劇にしていないから、ちゃんとスリルが保たれる。
初めてテロリストと戦うエレベーターでも、ナビゲーションしてくれる黒人青年がいないと勝てない状況をすんなり作り出している。

ここで、主人公の筋力だけで何とか出来る状況ではないと観客に意識させるから、あの厨房での格闘戦もガスパイプや厨房用の昇降機、フライヤーを使った殺陣に興味が湧くし、敵に追い詰められて通路の角を曲がった瞬間に主人公がバイクに乗っているショットでしっかり驚ける。

バイクでスタジアムの通路を逃げた果てに、MIシリーズ的なバイクでの飛翔まで主人公に要求するエスカレートぶりが本当に楽しい。
デイブ・バウディスタにカレシを惨殺された事でキレた女テロリストを倒す件も、フィジカルではなく運否天賦なのも好き。彼女の苦し紛れの捨て台詞も脚本が洒落てる。

扉を開ける事で状況が変化、悪化していく作劇だった。
ド頭の掴みで、サッカーをしていた子供が家の扉にボールをぶつける〜窓が割れてズタズタになった男が這い出てくる!という場面もそうだし、スタジアムの場面でも殺した敵のカードキーで扉を開けるほど追い詰められていく。
だからこそ、スタジアムの中央という開けた空間でデイブ・バウディスタは観客に紛れたテロリストを始末出来るんだろう。
アフガンで戦争を体験した彼には空間が広ければ広いほど優利だし、何より大事な友の娘の悲鳴は聞き逃さない。