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クリード 炎の宿敵のjyoのレビュー・感想・評価

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)
5.0
2019年が始まってまだ2週間ぐらいしか経っていないが、いきなり今年のベスト級と言えるくらい素晴らしかった。

シルヴェスター・スタローンの『ロッキー』のスピンオフ映画として制作された『クリード チャンプを継ぐ男』はシルヴェスター・スタローンにゴールデン・グローブ賞を与えた名作だ。その続編は、ロッキーが4作目で戦ったドルフ・ラングレンが演じたドラゴの息子と主人公のクリードが激突する。

まさに因縁の対決である。それが30年という時を経て実現したわけだ。映画の時間と現実の時間が見事にシンクロしている。前作の成功がなければ、このカードはあり得なかっただろう。ドラゴは30年前にロッキーに負けて国からものけ者のような扱いを受けていた。しかし、息子は父親の遺伝子を受け継ぎ、強靭なボクサーとなっていた。一方のクリードは恋人のビアンカと婚約し、子供までもうけ、順風満帆といってもよい人生を送っていた。そんな中のドラゴ親子の挑戦状を受けるのである。

今回のメインはラングレン演じるイワン・ドラゴに注目して観るのをおすすめだ。ラングレンはIQが160以上あり、マルチリンガルで博士号も持ち、また実際に格闘家でもあったが、ドラゴの印象が強すぎて、役にはあまり恵まれなかった。実生活とドラゴに合わせているため、以前にあった機械のような冷酷さが失われ、孤独な目をした中年男性へと変貌している。だから、不思議とドラゴに感情移入が出来るのだ。しかし、それでも主人公はクリードであるため、いざ試合となるとクリードを応援してしまう。そこも脚本の旨さでもあるだろう。

ドラゴが初登場した『ロッキー4 炎の友情』を観てから、『クリード 炎の宿敵』を観ると、より感動が増す。今度はドラゴ親子を主人公にしたスピンオフが観たくなった。もしかしたら、スタローンのときのようにラングレンにアカデミー賞のノミネートが起きるかもしれない。そう思うと、絶対に制作してほしいと思う次第である。

今年は、初っ端から『暁に祈れ』で悲惨な思いをしたが、その後に『クリード 炎の宿敵』を観たおかげで、これぞ正月映画だ!と思うくらいの元気をもらった。

この2本を正月映画としてぶつけたのはもしかしたら正解だったのかも。配給会社は違うが(笑)
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