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ガチ星のKUBOのレビュー・感想・評価

ガチ星(2018年製作の映画)
4.0
良い映画だった。感心した。

チケットをいただいたので、全くノーマークだった「ガチ星」を見に行った。

戦力外通告で引退した元プロ野球選手の濱島。この男が本当にひどい男だ。クズだ。友人の女房に手を出すわ、パチンコやってて子どもとの約束ほったらかすわ、もう人として失格!

その最低男を演じる安部賢一が上手い、上手い! だらしのない、愚痴と劣等感にまみれた男を、息が聞こえるようなレベルでリアルに演じる。

野球選手を辞め、競輪選手を目指すも「おい、いい加減にしろよ!」と怒りたくなるほど、いつまで経っても成長しない。しそうになっても何度も挫折と失敗を繰り返す様は、さながらエヴァのシンジくんの如し。

それでも、ラストのラストに、溜め込んだストレスを全て解放するかのように疾走するストーリーと映像は計算され尽くした演出だろうが「遅えよ!」とひと言言いたい!

失望と、嗚咽と、汗と涙と鼻水と、人間の一番重〜いところを描ききった江口カン監督はCM畑出身で本作が初監督作品だと言う。信じられない新人監督が現れたものだ。

一部劇場の限定公開にしておくのはもったいないレベルの傑作! いつまでたっても成長しなかった男が、最後に見せる必死の形相と爽やかなラストは必見だ。

この作品に出逢えてよかった!
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