ダイナ

トゥルー・ロマンスのダイナのレビュー・感想・評価

トゥルー・ロマンス(1993年製作の映画)
4.3
監督トニー・スコット、脚本タランティーノ。
ハンス・ジマーのテーマだけ聞くと「ピュアっピュアな恋愛映画かな?」と思わされますが、そんなんじゃねえ!

スピーディな展開、誰かに話したくなる本筋に絡まない無駄話やB級テイスト溢れるバイオレンス、「タランティーノ作品ってこういう感じでしょ」の期待に答えてくれる内容。中でもタランティーノの特徴的な言葉回しが魅力的で、彼のスタイルが堪能できて面白いです。同時期レザボアが密室劇であるのに対し、本作は逃避行モノと舞台が移動していくためそういった点、同じスタイルでの差異部分の新鮮さとして楽しめます。トニー・スコット作品はトップガンしか観たこと無いのでハッキリ強くトニスコ感薄い!と言えないですが、タランティーノの色が濃い!とは確信して言えます。あと後にタランティーノ作品常連となる方々含め有名俳優が脇役で大量に出ており、いい意味で主役を食わない脇役に徹しているのも印象的。

「B級バイオレンスなんだ、血がブシャブシャ出るんでしょ」と思われた方、本作それだけじゃねえ!(もちろん血はドバドバ出る)

通常の恋愛物の多くは結ばれる過程のヤキモキさが魅力の大部分と思われますが、本作は付き合うまではすぐ達成します。(ただ短いながらこの過程・やりとりが凄い良い!)ビデオ店で働く映画オタクというタランティーノ自身を反映したような主人公が訳ありコールガールと一悶着あるも結ばれる過程が純粋で眩しく、こっから麻薬が出てきて警察とマフィア組織が絡んでカオス、親子の絆もちょいと描きつつ(ここもいんだな!)とドラマの山あり谷ありの高低差が高くて単純な面白さが詰まってます。真っ当な善人が悪を正すのでなく、自身もダーティながら仁義通して恋人を思うその姿は偽りなくトゥルー。群像チックに警察と裏組織の思惑を絡めつつも主役2人のロマンスは揺るぎなく映されていて、まさしくトゥルーロマンスというタイトルに相応しい面白さでした。
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