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アクト・オブ・バイオレンスのnorisのレビュー・感想・評価

3.5
売春組織と元軍人の雑なバイオレンス物で、アメリカ人の頭の中を窺い知ることができる映画である。同じように雑な日本のドラマや映画と比べると、興味深いものがある。

ブルース・ウィリス主演ということになっているが、出番は少ない。「スプリット」の翌年、「ミスター・ガラス」の前年にあたり、ちょっと痛々しい演技である。

舞台はオハイオ州シンシナティ。地元警察刑事のブルースは、シェルターや立ちんぼの女性を騙し、モルヒネの1万倍という象用の鎮静剤カルフェンタニルで薬漬けにして売春させる組織(そんな雑なビジネスが本当に成り立つのだろうか?)を2年も追っている。女性らにはGPSが埋め込まれているので逃げてもすぐに捕まるらしい。

一方、結婚前夜の若者が、独身最後の羽目外しで、それぞれ公認でストリップバーとナイトクラブに繰り出す(ナイトクラブはともかくストリップバーは完全なフーゾクなので、日本的な感覚では理解不能である)。その結果、婚約者(#メリッサボローニャ)は上記組織に拉致されたので、若者の兄二人(コール・ハウザーとショーン・アシュモア)が救出に乗り出す決意をかためる。実は二人はアフガン帰りの元軍人で、派手に戦争できる装備一式を自宅に隠しているのだ。

兄弟の動きに気づいたブルースは勝手に動くなと釘を刺すが、三兄弟は組織のアジトを襲撃、ほぼ壊滅させるものの、婚約者は勝手に逃げてGPSで再び捕まっていた。三兄弟はやってきた警察に連行されてしまう。

ラスヴェガスに拠点を移す段取りを進めていた組織はFBIと司法取引して、それ以上の追捜査をしない約束ができていた(お約束的な流れのようだが、やはり日本的感覚では納得いかない)。歯噛みするブルースは24時間の期限付きで三兄弟を解放して追撃を任せることに。三兄弟は期待に応えて再びアジトを急襲し、婚約者を救出したが、その間に次兄の妻は殺されてしまった。さらに組織が復讐のため自宅を総攻撃した結果、応戦した次兄も撃たれて死亡。

ブルースは長兄と三男を逮捕し、逃げた組織のボスを一人で射殺。長兄と三男の送検などどうなったのか示されぬまま、ブルースはバッジを返して警察を辞め、ラストカットは子供が生まれた三男夫婦と長兄の記念写真が映り、映画は幕を下ろす。

冒頭で三兄弟とメリッサの結束が示され、その15年後のコール・ハウザーの戦争後遺症ぶりなどが示唆される。ハウザーは二度離婚して社会復帰できておらず、人生を失敗して、兄弟や次兄妻、メリッサの精神的なお荷物になっている様子。

次兄も可哀想で、三男の結婚を夫婦で祝福する真面目な男で救出作戦への参加も当初は渋ったのだがハウザーに説得されてやる気になったのに、妻は殺され自分ばかり撃たれて死んでしまい、良いことがひとつもなかった。
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