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エセルとアーネスト ふたりの物語のcookieのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

前知識なしで鑑賞。
翌朝、目覚めて間もなく思い出してボロボロ泣いてしまい、自分でもびっくり😭
歳のせいか...w

エセルとアーネストの半生を描いた大人向けアニメーション。二人の息子で絵本作家 レイモンド・ブリッグズの原作による実話だという。

時折偏見や虚栄心を覗かせる、少し癖はあるが一人息子を深く愛するエセル。
おおらかに優しく家族を包む、質実剛健のアーネスト。

思想や価値観が必ずしも同じではない二人が夫婦となり、マイホーム購入、出産、子供の教育や成長、老い...といった“普通”の日常が、温かいタッチの絵で淡々と描かれる。

戦争(疎開、ガスマスク、シェルター、ヒトラー、原爆投下)や物質的な豊かさ(ダイヤル式電話機や脱水機、オートバイ、テレビ)、ニュース(政治、月面着陸、同棲愛)、若者のファッション等の要素もあり、社会派映画の一面も持っている。

二人目の子供を諦めざるを得なかったエセルとアーネスト。訳あって子供を作らない選択をしたレイモンド。彼もまた妻を大切にしていた。

晩年のエセルの病室のシーン、アーネストの気持ちを思うと本当に悲しい💧
素敵な旦那さまだったのに...
今までとは違い、言われたとおりに髪をとかすレイモンド。
エセルは最期まで幸せだったに違いない。

時代も人も変わりゆく中、唯一変わらずにいた黒猫が、一人暮らしとなったアーネストに寄り添っていた🐈‍⬛

“普通”の終焉を迎えた二人。
エンドロールに映し出されたのは、そんな二人が生きた証。電気自動車もあった!

ありきたりの人生も素敵と思える人生賛歌。私の年代なら郷愁を感じるだろう。見終わってからもジワジワくるものがあった。

アーネストが亡くなったのも、エセルと同年。後を追うかのように。
顔が殆どわからなかったレイモンドの妻のことが気になり調べたら、二人の死の2年後に病死したとのこと。
亡骸の描き方だけ、あまりにもトーンが違う理由が分かった気がした。
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