Pinch

イングランド・イズ・マイン モリッシー, はじまりの物語のPinchのレビュー・感想・評価

4.2
ロキシー・ミュージック、マガジン、モット・ザ・フープル、マリアンヌ・フェイスフル、デヴィッド・ボウイ、ゲイリー・ニューマン、そしてシェイクスピアにオスカー・ワイルド。イギリス流のどぎついアイロニーとユーモア、その果てに得られる本物の誠実さという背景知識が必要とされる映画だね。モリッシーのモノローグやメモはザ・スミスの音楽に十分匹敵もしくは凌駕しているので、その後の出来事がなくてもほぼ支障はないと感じた。分かる人には分かる、分からない人には分からない映画。俺にはよく分かりちょっと懐かしくはあるが、涙を流すほど落ちぶれちゃいねえぜ。ドライでクリアな画面が懐古趣味を排除しているからね。

イギリスは歴史上、その文化と言語を破壊されたことがなく、個人のアイデンティティに大きな亀裂がない。(だから "England Is Mine" なわけ。)日本では明治以降亀裂が生じ続け、1945年8月15日を境に完全に何かがズレてしまった。誰もそのことを未だに解決できず、するつもりもないらしい。本物の才能は、効率性の名のもと、幼児期から幼少期にかけて抹殺されてしまう。生き残ったとしても醜悪な姿を晒すケースが多い。

日本のどこかで生き埋めにされ声にならぬ声を呻き続けるモリッシーの卵たちよ、国中に響くセンセーショナルな真実の言葉を一刻も早く絞り出せ!
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