あーさん

キンキーブーツのあーさんのレビュー・感想・評価

キンキーブーツ(2005年製作の映画)
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先延ばしにするのはやめよう!シリーズその7

これもずっと観たい気持ちを温めてきた作品。
ちょうど一年ほど前、あるフォロワーさんに"今年こそ観ます!"と宣言するも、持ち越してしまっていた。。

やっと、やっとの鑑賞。

いやー、、
きっと好きな感じだと想像していたけれど、案の定とても良かった!

チャーリー(ジョエル・エドガートン)は、イギリスの田舎町ノーサンプトンにある老舗靴工場の跡取り息子。
優柔不断で頼りなく、婚約者の彼女の尻に敷かれている姿がなんとも情けない。。
その彼と偶然街で出会うローラ(キウェテル・イジョフォー)は想像していたより見た目はイカついタイプ、ドラァグクィーンである彼(女)のステージは迫力があってパワフル!ミュージカルではないものの、全編音楽のセンスはバッチリ♪
でも、時に覗かせるナイーブな内面の振り幅が予想以上に大きくて、彼(女)の心の葛藤の克服が今作の一つ目の大きなテーマであると思わされる。

社長である父親が急に倒れ、いきなり社長に就任することになったチャーリー。
心機一転頑張ろうとするも既に経営は火の車で、多額の借金があることが発覚、、
このままでは倒産確実の大ピンチ!
"What can I do?"が口癖のチャーリーが、ローラの靴にヒントを得て、ドラァグクィーン向けのブーツを作ることを考えつき、一緒に工場を変えていこうとするのだが、そこにはいくつもの問題が。。

チャーリーが、ローラやローレン(サラ・ジェーン・ポッツ)、メラニー(リンダ・バセット)をはじめとする従業員達との関係を通して、経営者として男性として、そして人間として成長していくのがもう一つの大きなテーマ。
何が正解か、考えたり、感じたり、ぶつけ合ったりする中で、それぞれの求めるあるべき姿に気づいていくのが、観ていてとても気持ち良かった。
ドラァグクィーンの世界は、今ひとつよくわからなくて、その昔"プリシラ"を観て男でも女でもない感性が面白いなと思ったり、ケンカのシーンなんかではちょっとシャレにならないな…と感じたりしていたけれど、今作のローラは好き!キウェテル・イジョフォーが繊細な役処を的確に演じている。
オープニングの小さい頃のローラがこっそりヒールを履いて踊るシーン、思い悩んだローラが同じ場所で踊るシーンはお気に入りだなぁ。。

けれど、ドラァグクィーンって表面上は明るく振舞っている人が多いけど、ローラがそうであるように父親との関係がうまくいかず本当の自分に自信が持てなくて、実は深く悩んでいたり、心に何かしらの傷を持っている人も多い気がする。
今作の中で、リアルな表現として異性の服装(この場合は女装)を好んでする人のことを"服装倒錯者"(酷い言い方!)と言っていたけれど、ナイーブな内面とその真逆に振り切った派手ないでたちがなかなか理解されないのは、その時代性もあり無理はなかったのかなぁ。

でも、"偏見を捨てて" ちゃんと付き合えば、こんなに素敵な面があるって認め合える。チャーリーだけでなく、工場の皆がローラも含めて一丸となって工場再生の為に協力し合えるのだとわかっていくプロセスが、とても丁寧に描かれている。
一番ローラをバカにしていた従業員ドン(ニック・フロスト)の変わりよう!
予定調和だけれど清々しくて、なんかいいな〜♪

ジョエル・エドガートン、抑えた演技から弾けた演技まで素晴らしかった。
いろんなジャンルの作品に出ているし、俳優だけでなく監督(最近では、"ある少年の告白")もやっていると知り、これからも注目したくなった。

そして、いつかキンキーブーツ・ミュージカル版も是非観てみたい!




しかし、、
前回レビューした"シカゴ"にしても今作にしても"セクシー"とか"セックス"だとか作中でずっと連発だったので、家人に欲求不満だと思われてるかも。。(アブナイ、アブナイ!)

次回はちょっと違うテイストのにしよう笑
あーさん

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