このレビューはネタバレを含みます
だいすき。孤独、貧困、過酷な肉体労働、救済、愛欲、美しい自然。すきなものぜんぶ詰まってた。
2023/7/9の日曜夜に出会って、そこから一週間は毎日見返してる。
少ないバックミュージック。彼らの息遣いが生々しく聞こえてくる。
"You are a freak."
"Fuck off, faggot"
ふたりが愛してるの代わりに選んだ侮蔑語。
悴んだ手を一人で温めているジョニーに、自分の手袋を渡す。回し煙草。味の薄いトマトパスタ。テーブルに飾られた花の香り。ゲオルゲが教えてくれたキスの気持ちよさ。干し草の上でしたピロートーク。そして故郷のうつくしさ。これからまだまだたくさんのことを、ジョニーはゲオルゲから教えてもらうんだろうな。そしてきっと二人はこの先もずっといろんなものを分かち合って、守りあって、支え合いながら生きていくんだろうな。
おばあちゃんが流したあの涙の意味はなんだろう。孫息子が同性愛者だとわかったからなのか、孤独に蝕まれた孫息子が愛した相手が移民の季節労働者だったからか、決して明るいとは言えない彼らの将来を不憫に思ったからなのか。
"忘れ物だよ"
そう言ってゲオルゲの書き置きをジョニーに渡すおばあちゃん。いままで見えない線で隔てられていた空間へ、おばあちゃんなりに歩み寄っているようにも思えた。