半兵衛

恋の狩人 欲望の半兵衛のレビュー・感想・評価

恋の狩人 欲望(1973年製作の映画)
2.3
前作以上に観念的な内容だったのでしんどくなったが、それでも60年代の安保世代を象徴するジャーナリストが70年代を満喫する若き女性と結ばれているもそのギャップに苦悶していくという展開に世代間の埋められない断絶とそれでも若い世代を見守る決意が感じられて中年の私には少し共感できた。でも若い人には難解な作品にしか思えないだろうな。

冒頭での本作の公開前に話題になった「ロマンポルノ裁判」を、その裁判に参加した田中真理が役ではなく本人として心情を語るこの時代らしい演出は面白かったけれど同時代に活躍した深作欣二や神代辰巳が既に斬新な演出で観客を驚かせていたと考えるとちょっと古いかも。

若い田中真理との世代ギャップを笑いながら静かに受け入れる中年男を演じる松山照夫の、後年の藤田敏八作品の山崎努や奥田瑛二を彷彿とさせる枯れた演技は良かった。
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