上京したばかりの朴訥な新人看護婦（片桐夕子）が、若い主治医（野上正義）によるオトナの火遊びに巻き込まれながら、本物の愛情を考えあぐねていく。恋愛の辛苦と人間的成長の相乗効果を描いている、日活ロマンポルノ。

前半部は、主治医に恋心を抱く主人公と、友人カップル（岸本マキ＆足立義夫）の人間模様を対比させていく展開。そして後半部は、ヤリチンの主治医に弄ばれていた衝撃と友人カップルの破局を通して、男女間の心的つながりの在り方を悟っていく展開。

野村芳太郎監督のサスペンス映画を彷彿とさせる、ジメ～っとした雰囲気が色濃く出ている。看護婦のキャラを活かした健康的なエロスは皆無であり、「男女の恋物語は決してお花畑では済まされない」という退廃を誇張気味に表現している。

ロマンポルノの初期スターである片桐夕子の薄幸なニキビ顔が初々しい。ヤリチン野郎と「うっかりヤッちゃう女の子」の説得力に秀でている。

• #エロ映画

ある意味女性の成長物語ですね。セットが凄いですね。

• #片桐夕子

ロマンポルノの中でも古ッ、と感じるけれど、まだ日活の通常の映画の名残がある作品。
出てくる人がほとんど良い人。愛欲でドロドロの病院物語かと思いきや、なんだか優しい終結に向かっていくのが意外であり、でもたまにはこういった癒される物語もいいなと思った。色情狂みたいだった同僚女性が、片桐さんに謝って「わたしはその都度せいいっぱい抱かれてきたの」といった告白をするシーン、唐突なキャラ展開だけど、面白いし善い人だったからアリ。
片桐さんの処女を奪った先生が、遊び人でありつつ、医者としては真面目で片桐さんの友人の症状を深刻に思い悩んでいるのも、奇妙で良かった。作り手たちはなんでこんなに良い話にしようと思ったんだろう。