人身売買の仲介人（南城竜也）と接触した女性（高倉美貴）が、銀座の裏世界を牛耳る大富豪（小沢象）のもとに売られてしまう。SM調教後の女性の人生模様を説いている、日活ロマンポルノ。団鬼六原作。

奴隷に堕ちる代わりに高級クラブのママという地位を与えられた女性の生き様を追っている作品。裏社会からの脱出不能状態に陥った人間の「Let it go!」（流れに沿って進むしかない！）が扇情的に描かれている。

主人公の女性は、裏社会の深淵を知り、世間ズレした人間として登場する。高級クラブを手中にした姉に嫉妬心を燃やしている、猪突猛進型の妹（麻生かおり）を絡ませることにより、姉妹を対比させていく論法が取られている。

「隷属の歓び」を掘り下げているわけではないので、サドマゾ観点からのカタルシスは弱いが、「脱出不能」をキーワードにしたドラマとしては見応えあり。良い意味で紋切り型から逸脱しており、SM映画の奥深さを再確認することができる。

• #エロ映画

かごめかごめ
籠の中の鳥は
いついつ出会う
(以下略)


姉妹もの。
エンドロールの流れ方とか
坂道での口付けとか
なんかいいなぁというショットが多い

妹役の麻生かおりが
なぜここまで姉に対抗心を
燃やすのかが謎ではあるけど

縛りの場面を結構じっくりと見せる。

姉役の主人公の人
フィルモグラフィを改めて確認してみたら
団鬼六ものばかりで
そっちの専門役者だったのかと
訝るほどである。

個人的には麻生かおりの方が
断然好みではあるんだけども
女優魂というか
圧倒するものはある。

• #坂道

肉体を虐め騒ぎ散らかす即物的なSMポルノより、その行為が関係性や精神的な苦痛にまで侵食する作品のほうが好きなので、高倉美貴の美しさ含めて作り手の思いは十分に受け止めた。SMによって人生を狂わされた姉が同じ境遇に嵌りつつある妹を救うためにさらなる痛みを課していく。テレビドラマのようなヌルい終盤は減点だけど、これが高倉美貴のロマンポルノ引退作なので、坂道を下りた先でもう一度人生をやり直すことが出来るなら…去っていく女優への「はなむけ」としては悪くない終わりだと思った。