垂直落下式サミング

武蔵-むさし-の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

武蔵-むさし-(2019年製作の映画)
3.0
最強の剣豪とはどんな人物だったのか?漫画の『バガボンド』が一人の青年が最強の剣豪になっていく過程を丹念過ぎるほど丹念に描いていて、『刃牙道』では現代マーシャルアーツとはまったく違う価値観をもった武の完成形態だとするショッキングな人物像を示されたあとだと、どうにも青臭さの残る実写映画ではあった。
宮本武蔵という題材は、チャンバラ時代劇の花形であるため『蠢動』よりも派手さがあるのはいいが、映画制作者の熱意や趣味だけが独り歩きしていて、古きよきお侍映画のトレースにとどまってしまっているような気がするのが惜しい。
チャンバラなんてものは古くさいジャンルなんだから、そこをまず認めるところからはじめないと…。今の時代に語るべき必然性や、今でこそ描くことの出来る新しさがないと…。時代劇は「今」への問い掛けがないとちとキツい。
武蔵の半生を描いてるのに、その行動や内面に劇的な変化がないのがね。ドラマとしてツマンナイ。勝つとはなにか、負けないとはなにか、最強とはいったいなんなのか、そこんところを見せてくれなければ…。