滝和也

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第五章 煉獄篇の滝和也のレビュー・感想・評価

3.5
間違いとは
正さなねばならぬもの

だが人は間違いを
繰り返すものであると。

波動砲艦隊、今、土星沖開戦
に突入す。

「全艦マルチ隊形!」

「宇宙戦艦ヤマト2202
愛の戦士たち 煉獄編」

前作2199にて出渕裕監督は見事な才気により、嘗て無い、リブートを行った。だが、唯一の間違いはデスラー総統の扱いだった…。彼は…愛の狂乱者ではない。彼は民族を守り、愛を知る悲しき独裁者であった筈だった。故に旧作には至高の台詞があった筈だ。

「俺たちは戦うべきではなかった…。愛し合うべきだったのだ。」と…。

だがその、間違いは今作で正された。デスラーは再び愛を知る、愛を求める、悲しき独裁者の美しき衣を纏う。前作では絡まなかったテレサ、そして血縁を語ることで。更に愛を知るもの達の縁と和を持つことによりストーリーは紡がれていくはずだ。

それはいい…。

だが人は間違いを再び犯す。


※ネタバレになるので未見者は撤退せよ!



加藤三郎は断じてあんな男ではない!

残念だ。彼はコスモファルコン隊、コスモタイガーⅡ隊の隊長である。ヤマトを守り、地球のために、最も生命を投げ出した航空隊の隊長であり、その崇高なる生命の使いみちを見てきたはずなのだ。

だからこそ、もう一度言う…断じて彼はそんな男ではない。

嘗て神谷明の声をもち、自らの命をかけ、古代達の命を救うため、コスモタイガーの銃座でひとり奮戦し機体を守り続け、絶命するまで、友と地球のため、戦い抜く誇りある男である。その男を貶めることは許されるものではない…。

間違いを正すこと、正されなければならない。次巻はそこに期待したい…。

期待した土星沖開戦も、残念だ。前作を戦闘シーンで、初めて下回った。アイデアや見せ方の部分で。ヤマト2の開戦は見事な心理をついた作戦展開を見せてくれた。今作で山南アンドロメダ艦長は語る…。

「物量を過信する愚かものよ!」

正にその台詞を制作者に叩きつけたい。物量よりも旧作のようにアイデアはなかったのか。戦術なき戦闘シーンはアッサリ目にならざるを得ないのだから…。

前作までの期待感は次作に感じない。だがその失望を変えてくれることが、できるラストの戦いが更にその先に待っていることをオールドファンは知っている。だからこそ、巻き返してほしい。

刮目して待っている…。
滝和也

滝和也