竹野康治郎

バイスの竹野康治郎のレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
4.0
こんなにもアメリカをコメディ的に馬鹿にしつつ、強いアメリカも描いたエンターテインメント作品は個人的には初めてでした。

9.11からイラク戦争を裏で画策したチェイニー副大統領の半生を描いた作品で、現存する政治家が次々に登場します。にしても、こんなにも遊んでいいだろうか。日本では絶対にできない映画だと思いました。

ポスターや予告編を見ると、どうしても政治色が強く感じるが、家族の話や女性の強さを描いたり、エンターテインメント性も盛りだくさんです。そして、最後にチェイニーが放った言葉に恐怖すら覚える。個人的にはめちゃくちゃ面白かった。

歴史の流れさえ理解しておけば、なんとかついていけます。またデッドプールのようにナレーションがあり、その複線回収の演出が凄かったです。

クリスチャン・ベールが本当に良かったし、途中というか最初からチェイニーしか見えない。そのほかサム・ロックウェルのジョージ・W・ブッシュは勿論、ラムズフェルド、パウエル長官もそっくり、あえてそっくりにし過ぎにしたことが面白さを倍増させたと思いました。

1人の男によって、こんなにも世の中を変えてしまう恐怖がある。
政治にあまり関心が持てない方にも観て欲しい映画です。

2019年公開作品22本目
竹野康治郎

竹野康治郎