エミさん

バイスのエミさんのネタバレレビュー・内容・結末

バイス(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

政治の話は苦手。人並み程度の興味しかない私が、観て理解出来るのだろうか…?と思いましたが、完全なるブラックコメディー。出来るだけ実話に寄せたそうですが、副大統領の情報なんて少ないだろうに、とにかく演出が面白くて失笑の連続。驚きました。政治に詳しくなくても全然問題ナシです。楽しかったよ〜 ♪
アダムマッケイ監督は、サタデーナイトライブのディレクターだった人。マイケルムーア監督の風刺作品とはまたひと味違って、個人を名指しまでして茶化しているのに、伝わってくるドキュメントさが実に潔くて痛快に思いました。政治と釣りを対峙させたりとか、それだけで駆け引きの様子や人物像がよく分かって興味を惹きました。

2001年から8年、ブッシュ政権の中で副大統領を務めたディック・チェイニー。同時多発テロや湾岸戦争…等々、米国の歴史の中でも一番トチ狂っていた80年代任期の政権を取り上げていて、観ているうちに「あの時代の話か…」と、当時、日本でも報道していた湾岸戦争や同時多発テロのニュースを思い出しました。
学歴は人並みなのに、並外れた計算高さ(または処世術ともいう?)で、ホワイトハウスを段々と牛耳っていくディック・チェイニーの姿は秀逸で悪どくて、大統領よりもインパクト大で俄然、面白かったです。
こういう人がいたんですねぇぇ。 (。-_-。)

今回も体を張って頑張ったクリスチャン・ベール様。普段はあんなにカッコいいのに、でっぷりハゲオヤジ姿なんて…。ショッキングでした。
(ノд`)**

この作品の1番の醍醐味は、史実の正確さよりも、やっぱり登場人物たちがいかに本物に寄せてきているかに尽きますが、とにかく登場人物が多過ぎる!!
(@_@)
正直、構成はごちゃごちゃしているし、登場人物がとにかく多くて、とっ散らかっているのに、監督が笑いのツボを心得ているので、つい、ず〜っと観てしまう。。誰だか分からない人が沢山居る中でも、ホワイトハウス陣の表舞台で活躍していた有名どころが出てくると、「あっ、この人、覚えてる!」「あ〜こんな人、いたなぁ〜」なんて、知ってる人を見つけて、ジワジワと役者のスゴさに魅せられてワクワクしてきます。
ジョージ・ブッシュ氏とか、ちょっと意地悪なくらいの大げさな真似っぷりで、流石、芸達者なサム・ロックウェルだなぁ〜と笑ってしまいました。どうして、サム・ロックウェルが出てくるだけで思わず笑ってしまうんでしょうねぇ…。なんか憎めない、いいキャラですよね。彼は。



そして、以下これはネタバレでごめんなさい…。
どうしても言いたい!
m。゚(゚´Д`゚)゚。m

エンディングで『アメリカ』(映『ウエストサイドストーリー』関連曲)という曲が流れるのですが、聴いた瞬間、ホラーより怖くて鳥肌が立ってしまったのです。
散々、ブッシュ政権の傍若無人ぶりをこき下ろした挙句、『♪アメリカは良い所〜 何だって自由〜』だって…。
ヒェ────lll゚Д゚lll────!!

でも段々と歌を聴いているうちに、鳥肌からの失笑…。
「よく言った〜!!(爆)」と思いました。

何があろうと、それでも歴史が回っていく…。米国ほど寛大な国はホントないよなぁ〜と、この作品を観て思えたら、観終わった後、自然と含み笑いが込み上げてきました。国を愛すればこその風刺なのでしょうね…。
これこそがこの作品の真理だと思いました。