かめの

こはくのかめののレビュー・感想・評価

こはく(2019年製作の映画)
3.9

物語の中心は基本井浦新さん演じる弟なんだけど、アキラ100%こと大橋彰さんの役どころがあまりにも魅力的で、もっと内面が描かれても良かったのではと惜しい。

40代近くになっても、父親のことを「恨んでいる」と言ってしまえる兄。自分を嘘で塗り固め、やたらに女性を口説くが相手にされず、自分には誰もいないと苛立つ。弟はそんな兄を理解しかねるが、父親との再会を果たす場面で、全てがうまく飲み込める。彼は未だ父を待つ子どもだったのだ。図体だけが大きくなり、年月ばかりが過ぎた。無条件に愛してくれるはずの父親を探していた。

正直、私としては父親の方だって子どもたちの居場所を探そうと思えば簡単に会えたはずなのに、所詮我が子は遠きにありて思ふものってことかと感じてしまった。誰もが、誰かの子どもだったということを思い出させられる。

お店のBGMが工藤静香の曲だったので、設定が1980年後半あたりかと思ってみていたけど、スマホもネットもあるもんね。現代か。
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