稲

ミレニアム・マンボの稲のレビュー・感想・評価

ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)
4.0
映像が良すぎて あらすじはほぼないのにずっと夢中で見ていられた

ハオとの息が詰まるような暮らしをじっとり見せられ続けることで 夕張や車、ガオの家などその他の場所での開放感がより色濃いものとなっている
ヴィッキーが車から身を乗り出すシーンは本当にうっとり!スローモーション

愛し合っていた男との生活は暴力に蝕まれ そこから掬い上げてくれた男は失踪し
不安定なヴィッキーはこれから生きていけるのだろうか?と思ったけれど そういえばこれは10年前の出来事なのだった
モノローグの「彼女」という自称からも 10年後の今は当時の自分を他人のように思い出していると感じられる
私もヴィッキーほどではないとはいえ不安定な時期を過ごしていて やはり当時を振り返るとなんだか他人のことのようだ
ガオの言う普通の暮らし=稼ぎが多くなくとも自分で自分の生活を成り立たせること、が不安定な自分自身から抜け出すために必要なのだと私も思う

獨立時代のように台北の街をもっと見たかったから 夕張の街で終わったのは少し物足りなさを感じたけれど 侯孝賢の映画への愛がここに詰まっているのかもしれない
稲