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プリマス・アドベンチャー(原題)
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『プリマス・アドベンチャー(原題)』に投稿された感想・評価

「心が成長すると周囲との距離を縮められる」

そんな台詞と、今の時代のスペクタクル映画と比べても遜色ない航海描写が目を引くアドベンチャー映画。
下地にあるのはメイフラワー号の入植に関する史実。

日本未公開で正規ソフト発売、サブスク配信などはないが、コスミック出版のDVDボックスに収録されていたので鑑賞。

ずっと観たかった作品だけあり期待度は高かったが、17世紀の帆船での航海描写の迫力があまりにも凄い。
役者の汚しは50年代相応だが、嵐のシーンも同様に迫力抜群。

主演のスペンサー・トレイシーは、リアリストで人との関わりに諦めを常に抱き、自棄っぱちな屑ムーヴを度々行う薄情なメイフラワー号船長を演じている。
思慮深い人物を演じる印象が強い彼らしからぬ役な気もするが、後半にかけての前振りなのだろう。
ジーン・ティアニーと彼とのロマンスはちょっと余計な気もしなくはないが、それでも彼女はやっぱり美しかった。
監督のクラレンス・ブラウンの細やかな名匠振りが垣間見れる閉鎖空間での群像劇はなかなか面白かった。

鑑賞終了後に作品の英語版Wikipediaのページを観たが、史実が下地にあるだけあり実在人物が多い。
陸地に希望が見えたが、病から身体がもたずに事切れたウィリアム・バトン少年も実在していた。
日本では未公開でマイナーな作品だが、苦難の末に多くが病に倒れても、それでも開拓と前進を諦めない入植者の精神を後世に伝えている。

アメリカでの本作の地位は、間違いなく日本とは全く違うだろう。