幽斎

サイコパス-連続殺人犯たちの夜-の幽斎のレビュー・感想・評価

2.0
原題「Psychopaths」英語単体表記は反社会性パーソナリティ障害と精神病質者を一緒に括るので、人権侵害の恐れが有る為、こんなストレートなタイトルは常人は付けない。意図的に付けた監督こそサイコパス。

2017年製作と意外と古いが、リリースしたアミューズは、別の作品と抱き合わせで仕入れたらしく、北米版は85分に対し国際版は4分短い。R-15指定でグロが削除された、のではなく、エロが女優の意向で消された様だが、ソレを気にする程売れるとは思えない。サイコ・スリラーで評価すると0点に近い、故にアミューズは自分の名前すら出さず、いきなり本編が始まる。

「シリアルキラーたちのバトルロイヤル全員異常」←虚偽広告で警告される案件。世の中には「おバカ映画」なるジャンルが存在する。ツッコミどころ満載で楽しめたり、最後まで付き合うと謎の満足感が得られるが、本作の場合は圧倒的な脱力感に苛まれる。時間的にも精神的にも財布的にも大打撃。己の「引き」の無さを痛感。失神せず完走した方は私が褒めてあげたい。

スリラーとして0点なのは、終盤で「話があいまいでわかりにくい、そう感じる人がいたら謝る。だが、人生とは結局そんなものだ」とナレーションで謝罪する暴挙。私も数多くのスリラー映画を観たが、作品から直接謝られたのは初めて。途中の気取ったナレーションも鼻に付くが、それすらも伏線。おバカ映画は作り手が世に放った作品の、自信満々な勘違いを愛でるのが楽しい訳で、後付けで謝罪するならお蔵入りにするべき。

Mickey Keating監督。売れない俳優として活動するが2013年から脚本を書いて監督する作品を定期的にリリース。が、どれも面白くない。一番有名なのは前作「ハンティング・パーク」これもクソ映画認定。未体験ゾーンの映画たち2017で支持率最下位だったような。資金を集め作品を発表する謎監督は一定数存在する。不思議と結婚しない女優さんと同じ構図。

古いMTV感覚でシャカシャカしたカメラワークや妙に馴染む音楽など、センスの片鱗は感じるが、演出が敢えてのレトロに合わせたダンスやマスクなど、既視感強め。評価出来るのは主演のAshley Bell、彼女は頑張った。「ラスト・エクソシズム」くの字に曲がったシーンが印象的だが、監督の前作でもヒロインを演じる、と言っても34歳。彼女がタイトル通りのサイコパス演技、其処だけが見所だった。スリラーの評価は最低だが、サイケデリックなホラーが好きな方なら、点数はもう少し高くても良い。本作に限っては吹き替えの方が楽しめる、スカしたナレーションで声優さんが良い味出してる(笑)。

「だが、人生とは結局そんなものだ」これで全てのスリラーは完成する。恐ろしく汎用性の高い名言だった。
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