エイデン

サイコパス-連続殺人犯たちの夜-のエイデンのレビュー・感想・評価

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ある満月の夜
大勢の人々を生きたまま焼き殺した凶悪な連続殺人犯スタークウェザーが処刑された
スタークウェザー自身は悪事を働いていた人物しか殺していないと語っていたが、その残虐性から世間では怪物と呼ばれる人物だった
スタークウェザーは死の間際、自分は悪意の器に過ぎず処刑したら暴力と恐怖が街に君臨するという奇妙な予言を残す
そして彼の死からわずか数分後、街のモーテルに“月夜の絞殺魔”と呼ばれる連続殺人犯が現れる
彼は金品ではなく、殺すことだけを目的に深夜の家に忍び込み、殺人を続けるサイコパス だった
絞殺魔はモーテルに泊まっていた女性と、騒ぎを聞いて来た支配人を殺すと、新たな獲物を探して車を走らせる
娼婦たちを物色していた絞殺魔だったが、偶然近くを歩いていた金髪の美女に目を付ける
声を掛け、タバコの火を求められた絞殺魔は快くそれに応じ、その美女ブロンディを車に乗せることに成功
郊外に車を止め、彼女を求めるふりをして首筋に手を掛けた絞殺魔だったが、その時 ブロンディは突然 注射器を取り出すと、絞殺魔に刺して眠らせてしまうのだった
その頃 “ヒルグローブ精神病院”のバスで、患者のアリスが運転手を襲い逃亡する
アリスはそのまま、借金を巡って喧嘩をしていたジョージとブレンダ夫妻の家へ赴く
呼び鈴を鳴らしてジョージが様子を見に行っている間に侵入したアリスは、寝室にいたブレンダをナイフで滅多刺しにして殺害
スタークウェザーは確かに予言を残したが、自らの器が1つであるとは言っていなかったのだ
だがその一方、スタークウェザーも予想していなかったことも起きていた
スタークウェザーに焼き殺されそうになりながらも生還したある男は、マスクを被りスタークウェザーの血を引く残虐性を持った者を殺害して回っていたのだ
復讐心に囚われたマスクの男は、その夜 謎の人物からスタークウェザーの血を引く者のリストと金を渡す代わりに、そいつらを殺してほしいと依頼を受けるのだった
狂気の夜は進み、更なるカオスとなっていく



サイケデリックな雰囲気の中、ヤバいサイコパス達が繰り広げるアンサンブルを描くスリラー映画

登場人物が被害者以外ほぼサイコパスという異常なサイコパス比率で描かれるオムニバス形式の作品
とあるサイコパスの死を引き金に次々と現れるサイコパスというシンクロニシティ(徳川光成翁談)な謎展開から開幕
少しずつ接点を作りながら、オチらしいオチも付けない作風は、『パルプ・フィクション』とか『シン・シティ』あたりを彷彿とさせる

両作を観た人ならわかりそうだけど、謎にクセになるというのは事実ながら、かなり人は選ぶ
サイコパスとの息詰まる攻防とか恐怖というカタルシス、そして暴力こそあれゴア描写までそこそこに、ふわりと始まってふわりと終わる
作りたいもの作ったけど文句あるか系の作品としか捉えきれないし、クオリティ的にも先に挙げた作品には及ばないかな
まあ嫌いじゃないけど

それでも物申すなら、ややサイコパス達のキャラが弱め
もうちょっと掘れば良さそうなところを掘らないので、第一印象インパクトある人っていうくらいの記憶しか残らないかな

コメディ調で派手に暴れてくれるような作品を期待すると特に大怪我するけど、ある程度 期待値低めで観れば擦り傷で済むタイプ
思い切ったアイディア自体は評価したい
観ましょう
エイデン

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