このレビューはネタバレを含みます
オープニングのヤスコの独白から引き込まれた。
停電になると、全裸で踊るヤスコの母親。
衝動的に、全身の毛を剃るヤスコ。
私も、鬱っぽくなった時、衝動的に自分で髪の毛切ったりしたことがある。
ツナキとヤスコの出会い。
ぶっ飛んでておかしくてワクワクした。
この時は、まだツナキの表情も、そこまで澱んでいない。
額から血を流しながら疾走するヤスコ。
この映画の中で、彼女がいちばん輝いているのがこのシーン。
趣里が本当にこういう人にしか見えない、凄い。
菅田将暉も、物語が進むにつれて、どんどん表情が暗く澱んでいく。
そして、2人につきまとうアンドウさん役の仲里依紗、私はこの人が怖かった。
部屋での2人のやりとり、ヤスコの絡み方が完全なモラハラで息苦しくなる。
ツナキが不本意に働くゴシップ誌の編集部、ヤスコがバイト先の人々の好意を受け入れられない様子…生きづらさをこれでもかと見せつけられる。
服を一枚一枚脱ぎながら駆け抜け、あげく全裸になるヤスコ。あれだけの奇行にも逃げずに付き合うツナキ。観ている私もしんどくなって、いいから病院に行きなよ…って思ってしまった。
屋上で心のたけを訴えるヤスコとそれを聞くツナキ。2人はもう終わっているのだった。
「どうしてこんなあたしと3年も一緒にいたの?」ヤスコの問いに、ツナキの脳裏に蘇る、出会った日の駆け抜けるヤスコ。
「よくわからないけど、きれいなもの」
私にも鮮やかに、2人の出会いのシーンのワクワクした気分が蘇った。
そこへ現れたアンドウさんは完全な蚊帳の外で、少しかわいそうだった。
部屋へ帰って、「いつも通り」に振る舞おうとするけど、やっぱり2人は終わっていて。
それでも、ただ一瞬でも、わかりあえたときがあるから、これからも生きていける。
停電の部屋で、赤いネオンに照らされながら、全裸で踊るヤスコ。
「いいなあ、あんたは私と別れられて」
自分と真っ向から付き合うって苦しいことだ。
だから、真っ向勝負が過ぎるヤスコから目が離せなくなるんだろうな。
でもやっぱり、鬱ならちゃんと病院でお薬を処方してもらったほうがいい。