星一

生きてるだけで、愛。の星一のレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
3.8
 過眠症で決まった時間に起きれなかったり、社会に適応できずに鬱憤をためる主人公”寧子”と、物書きになりたかったが関係のないゴシップを主に扱う雑誌でライターをしている津奈木の二人にまつわる恋愛映画です。

 寧子の社会に適応できない自分の苛立ちのシーンがまあリアルで、目覚ましかけても起きれず、面接にすらいけない自分の頭に時計を叩きつけるのなんて、見てて辛くなりました。自分のできなさ加減に嫌気さしてるのが、理解できて辛くなる。

 寧子自身が一番やばいっていうのを分かってて、それを隠すように生きて社会に順応しようとしても、体がよりいうこと聞かなくなるし、周りもやばいことを見抜いてしまう。このどうしようもなさがよく伝わってくるから、辛く感じてしまう。そんな苛立ちを津奈木に、理不尽にぶつけてるのに、ちゃんと愛していた津奈木はすごいと思う。それでも積もりに積もって限界だったからこそ、あの最後かもなのかな、と思った。

 津奈木も、書きたくない記事を書かなければいけない、どうしようもできないし、超ハードワークで四苦八苦している。この津奈木の味気なさが菅田将暉がちゃんと出しててすごいと思う。

 どうしようもできない時に、本能というか、あるがまま思いっきり走るシーンは、何処か熱く、爽快感があって好き。走る映像も綺麗だなと思った。

 この二人の不思議な愛の形はすごく面白かった。その時の一瞬のために生きてる。その瞬間がまた見たかったからこそ、生きているだけで、愛なのかなと思った。

 原作の本谷有希子さんの小説は大好きで、本谷さん原作の映画見たことないし見てみようとおもって選んだ一作でした。少々違うとことや変えた場面はあれど、気にならずに楽しめました。

 富嶽三十六景の部分は無くなってて、あったらよりわかりやすく見られそうかなと思いました。

 それでも、本谷さんの小説を読んでなくても楽しめる作品なのかなと思いました。また、これを見たらぜひ原作小説を読んで見てほしい。と思いました。

 
星一

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